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2008年6月28日 (土)

刹那&子猫SS

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 刹那が子猫を拾って飼うことにしたという話は、ロックオンを介してトレミー内にあっという間に広がった。
「意外だね。刹那は一人が好きなんじゃないかと思ってた」
 アレルヤが言う。
「そういう人間ほど、本当は温もりを求めているんじゃないか?」
 ロックオンが答える。
「どんな猫なんだ?」
 ティエリアの問いにロックオンは、
「真っ白な体毛の子猫だそうだ」
 と言った。
「一度見てみたいな」
「私はあまり……」
 言いよどむティエリアに、ロックオンは
「まあそう言うなよ。皆で見に行こう」
 と告げた。
「で、名前はなんてつけたんだって?」
「エクシアだ」
「え?」
「彼らしいな」
 アレルヤとティエリアが同時に答える。
 幸いミッションはここ1週間ない。
 3人はスメラギに許可をもらうと、軌道エレベーターを使って、刹那の住む、経済特区・東京へ向かった。
 事前に刹那に連絡を入れてあるので、留守ということはないだろう。
 ロックオン、アレルヤ、ティエリアの3人は刹那のマンションに着くとインターフォンを押した。
「ロックオン達か?」
 刹那が問う。
「ああ。遊びに来たぜ。ついでに猫ちゃんの顔も拝ませてもらおうと思ってな」
 刹那がドアを開ける。
 その足元には子猫のエクシアがいた。すっかり刹那に懐いているらしい。
「じゃ、入ってくれ。昼食の準備をしていたところだ」
「お邪魔するぜ」
 3人は刹那の部屋に入った。
「ミッションは?」
「大丈夫だ、ミススメラギに聞いたら、暫くないからゆっくりしてこいとのことだ」
「そうか」
 みゃあ。刹那の足もとでエクシアが鳴く。
「ああ、お前もお腹空いているんだな。今準備するから」
 刹那はそう言うと、ミルクと子猫用の缶詰の餌を準備した。
「みんなは何が食べたい? 今カレーを作っている最中だが、いやだったら別のものにする」
 刹那の問いに、ロックオンは
「ああ、それでいいぜ。俺達も手伝おう」
 そう言うと、ロックオンたちもキッチンでサラダ作りやご飯の盛り付けなどを手伝った。
 狭いキッチンにむさくるしい男4人と1匹で一杯だ。
 やがて食事が出来上がる。
 刹那はテーブルにカレーの皿を並べ、ロックオンがサラダの皿を持ってきた。
 アレルヤは飲み物を、ティエリアはデザートのゼリーを運んだ。
 みゃあと鳴き、エクシアがついてくる。
 4人は昼食を採り始めた。刹那の足もとで、エクシアもミルクの皿を舐める。
「どういう経緯で拾ったんだ?」
 ロックオンが問う。
「この前、雨が酷かった時、買い物の帰りにエクシアが捨てられて鳴いているのを見つけて、見るにみかねて」
「そうか、刹那、優しいね」
 アレルヤが言う。
 ティエリアは足もとにすり寄ってきたエクシアを抱き上げた。
「子猫は初めて見るが、本当に可愛いな」
 エクシアがみゃあと鳴く。
「しつけはちゃんとしているのか?」
 ロックオンの問いに刹那が答える。
「ああ。一応トイレはもう完璧にマスターした」
「でもここマンションだから、飼っているの秘密なんだろう? 外には出さないの?」
「迷子になったら帰ってこられない。まだ子猫だから。外は車も多く走っているし、怖くて外には出せない」
 アレルヤはティエリアから子猫を渡されると、そっと体を撫でた。
 エクシアがごろごろと喉を鳴らす。
「俺にも抱かせてくれないか?」
「いいよ、ロックオン」
 アレルヤがロックオンに子猫を手渡す。
 みゃあみゃあとエクシアが鳴く。
「ロックオンお兄ちゃんでちゅよ~、エクシア」
 ロックオンが赤ちゃん言葉になる。
 エクシアはロックオンの頬をべろべろ舐めた。
「うわ、くすぐったい」
 エクシアはロックオンの腕から降りると、刹那の足もとで丸くなった。
 刹那たちは食事を済ませると、キッチンで洗い物を始めた。
「今日は泊っていくのか?」
「そのつもりだ」
 ロックオンが答える。
「狭いぞ」
「大丈夫、床で寝るから。アレルヤとティエリアはソファーで寝ろよ」
「いいの? ロックオン」
「悪いな」
「気にするな。刹那はエクシアと寝るんだろう?」
 ロックオンが言う。
「ああ」
「取り敢えず、寝る時間までゲームでもして時間つぶそうぜ」
「ならPS3の対戦ゲームでもするか?」
 刹那が問う。
「そうしよう」
 こうして、ガンダムマイスターたちと子猫のエクシアの夜は更けていくのだった。

FIN

2008年6月26日 (木)

刹那SS

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 刹那は、経済特区・東京のマンションへの帰り道、雨に濡れて鳴いている子猫を見つけた。どうやら捨て猫らしい。子猫が刹那へすり寄ってくる。みゃあみゃあと鳴いている。お腹が空いているのだろう。刹那は放っておけず、子猫を抱きあげ、傘の中に入れると、マンションへ急いだ。
 マンションに着き、子猫の体をタオルで拭う。冷蔵庫からミルクを取り出し、皿に入れて電子レンジで温める。それを子猫に与えた。
 子猫はみゃあと鳴いてミルクを飲み始めた。刹那はほっとしたような表情になる。
 ただ、ミルクだけという訳にもいかないだろう。刹那は携帯端末を使ってロックオンを呼び出した。
「どうした? 刹那」
「ロックオン、子猫を拾ったんだが、ミルク以外に何を食べさせたらいい? 俺はなにも判らないから教えてくれ」
 ロックオンは考え込んだ顔になった。
「シーチキンの缶はあるか?」
「あるが」
「それを少し与えてみたらどうだ? あとは明日にでもペットショップへ行って、子猫用の餌を買ってくるんだな。ところでお前のマンション、ペット大丈夫なのか?」
「いや、飼うのは禁止されている」
「じゃあバレないようにしろよ」
 そう言うと、ロックオンは通信を切った。
 刹那は言われたとおり、シーチキンの缶を開け、皿に盛って子猫に与える。
 すると子猫はおとなしく食べ始めた。よほどお腹が空いていたのか、あっという間に皿が空になる。
 刹那は子猫を抱き上げると、そっと撫でてやった。
「名前はどうしよう……」
 暫し考え込んだ刹那は、
「そうだ、エクシアにしよう!」
 と思いついた。自分の愛機と同じ名前。愛してやまない機体の名を、子猫につけた。
「今日からお前はエクシアだ。判るか?」
 子猫はみゃあと鳴く。判ったという返事のように聞こえた。
 その夜、刹那はベッドの中に子猫を入れて共に眠った。子猫はすっかり刹那に懐き、ごろごろと喉を鳴らして刹那にすり寄ってくる。
 子猫の体温を感じながら、刹那は朝までぐっすり眠った。

 翌朝。
 刹那は再びミルクとシーチキンの朝食を子猫に与え、ペットショップが開店する朝9時ごろマンションを出た。
 ほど近い商店街にペットショップがある。刹那はその店に入った。
「すみません。子猫用の餌が欲しいんですが」
 刹那は店員に尋ねる。
「でしたらこちらの缶詰などがお勧めですね」
「そうですか」
 刹那は店員に言われた缶詰を1週間分買った。結構な値段だったが、所持金はかなりあったので余裕で買えた。ついでに猫のトイレ用の砂と容れものも買った。
 急いでマンションに戻る。
 ドアを開けると子猫が飛びついてきた。
「こら、エクシア、ちょっと待っていろ」
 刹那はそう言うと、トイレを準備し、ミルクと缶詰の餌を昼食として与えた。
 再び子猫がみゃあと鳴く。餌が気に入ったらしく、美味しそうに食べる。
 その姿を見ただけで、刹那はなんだか幸せな気持ちになった。
 すると、刹那のおなかもぐうと鳴った。そうだ、昼食がまだだった。刹那は冷蔵庫を開け、サラダとトーストと目玉焼きというつつましい昼食を作り、テーブルに並べて食べ始めた。餌を食べ終わった子猫が刹那の足もとにすり寄ってくる。
 刹那はトーストをかじりながら子猫を抱き上げた。
 本屋に寄って買ってきた、子猫の飼い方の本を見る。トイレのしつけ方法やうまく懐かせる方法などが載っていた。
「明日またペットショップへ行って、お前の首輪とか買ってくるからな、エクシア」
 そう言う刹那の言葉に、子猫は再びみゃあと鳴いた。
 本当に刹那の言葉が判っているかのように。
 その時、携帯端末が鳴った。スイッチを入れる。相手はロックオンだった。
「刹那、子猫の方はどうだ? 元気か?」
「ああ。ペットショップへ行って餌を買ってきた。ついでに本屋で猫の飼い方の載ったガイドブックも。元気だぞ」
「名前は何にした?」
「エクシアだ」
 ロックオンは驚いたような表情になった。
「お前……。本当にガンダム馬鹿だな」
「悪かったな」
「しつけは?」
「これから始める。ガイドブックまだ全部読んでない」
「トイレとかちゃんとしつけろよ。あと、捨て猫だったんだろう? 蚤とかいるかも知れないから、蚤取り首輪を買うんだな」
「ああ、判った」
「じゃあな」
 そう言って、通信は切れた。
 刹那は餌を食べ終わってご満悦のエクシアを抱き上げると、そっとその体を撫でてやった。子猫のエクシアと刹那の仲の良い生活が、こうして始まるのだった。

FIN

2008年6月25日 (水)

ロク刹SS

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 ロックオンは刹那をアメリカ旅行へ誘った。
 目的はひとつ。アメリカでは同性同士の結婚が認められている。ロックオンは刹那にプロポーズするつもりなのだ。指輪はすでに買ってある。礼服は現地で買えばいいだろう。
 ロックオンはそのことを刹那に内緒にしていた。いきなり教会へ連れて行ってびっくりさせるつもりだった。
「刹那、アメリカは初めてか?」
「ああ」
「でも英語は出来るんだよな?」
「ロックオンもだろう?」
 ああ、そうだぜとロックオンが答える。
「でもなんでアメリカなんだ? ロックオンのゆかりの地はアイルランドだろう?」
「内緒だ」
 刹那は拗ねたような顔になる。
「恋人に隠しているなんてずるいぞ」
「まあまあ。現地に着いたら話すよ」
 経済特区・東京の成田空港からアメリカ行きの飛行機に乗る。
 当然パスポートはソレスタルビーイング特製の偽造パスポート。実際には存在しないはずの人間のデータが入っている。この時代のパスポートは電子ですぐに情報が判るようになっている。その点もぬかりなく作られているパスポートだ。
 フライト中、刹那がうとうとし始めた。朝早かったからだろう。ロックオンはスチュワーデスを呼ぶと毛布を1枚持ってきてくれるよう頼んだ。
 やがてスチュワーデスが毛布を持ってくる。ロックオンはそれをうとうとしている刹那の体にかけてやった。こうして眠っている顔も可愛い。ロックオンは思わず抱き締めたくなる衝動を抑えた。
 やがて昼食の時間になった。ロックオンは刹那を起こす。
「おい刹那、昼食の時間だぞ」
「う~ん……昼食?」
「ほら、スチュワーデスが運んできた」
 にっこりと笑顔を浮かべたスチュワーデスが刹那とロックオンに昼食の乗ったトレーを手渡す。思わず刹那のお腹がぐうと鳴った。ロックオンは微笑する。
「お飲み物はいかがなさいますか?」
「コーヒーを二つ頼む」
「かしこまりました」
 飲み物を注文したあと、スチュワーデスは去って行った。
 ロックオンが刹那のトレーのアルミホイルを外してやる。
 ライスと肉料理、パスタ、サラダ、デザートのゼリーといった昼食だ。ナイフもフォークもついている。
 ロックオンは刹那の分の肉を切り分けてやった。
「ほら、食え」
「有難うロックオン」
 刹那は食事を始めた。ロックオンも自分の分のアルミホイルを取り、肉を切り分ける。
 やがてコーヒーが届いた。
 二人は黙って食事に専念する。
 そしてデザートも食べ終わり、ささやかな昼食は終わった。
 刹那が尋ねる。
「アメリカまであとどのくらいだ?」
「大体2時間だな」
「いい加減隠し事は止めて話してくれないか?」
「だから現地に着いたら話すって」
「恋人にも言えないようなことか?」
「そんなんじゃない」
 ちょっとした口げんかになってしまった。ロックオンは根負けして刹那に話す。
「アメリカではほかの国とは違って同性同士の結婚が認められているんだ。だから俺は刹那を連れて行ってそこで結婚しようと……」
「ロックオン」
「何だ?」
「本人になにも言わずに決めたのか?」
 明らかに刹那は腹を立てている。ロックオンは頭を下げた。
「済まない。現地でプロポーズするつもりだった」
「なら今してくれ」
 刹那が言う。ロックオンは「え?」という顔になる。
 そして懐から指輪を取り出すと、刹那の左手の薬指にはめた。
「刹那……愛してる。俺と結婚してくれ」
「判った、ロックオン……」
 刹那はロックオンから手渡された、ロックオンの分の指輪をロックオンの左手薬指にはめる。
 二人はぎゅっと抱きあった。周りの視線など気にもならなかった。
「もうすぐアメリカだ。教会で式を挙げよう」
「ああ」
 そして飛行機はアメリカに到着した。
 ロックオンと刹那は、教会へ行く前に、ウェディングショップへ向かって礼服を買った。
 刹那に合うサイズがなかなかなくて、時間がかかったが、どうにか目的のものが買えた。
 そして二人は同性同士の結婚式を専門にやっている教会へ行った。
 招待客はいない。二人きりの結婚式だ。
 神父が二人に問う。
「刹那・F・セイエイ、貴方はロックオン・ストラトスを生涯の伴侶として認めますか?」
「はい、認めます」
「ロックオン・ストラトス、貴方は刹那・F・セイエイを生涯の伴侶として認めますか?」
「はい、認めます」
 二人は改めて指輪の交換をすると、そっと口づけをかわした。

 結婚式が無事終わり、ロックオンは刹那に言った。
「刹那・F・ストラトスって座りが悪い名前みたいだな。済まない」
「いや、気にしていない。それにその名は二人きりのときの名前だ」
「そうだな」
 そして二人はハネムーンのため、ハワイへ向けてまた飛行機に乗った。
 すでに予約は済んでいる。
 スメラギにも許可を取って1週間休みをもらった。
 二人は固く手を握り合い、ハワイへと向かうのだった。

FIN

2008年6月24日 (火)

アレルヤ&ティエリアSS

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 アレルヤは最近手料理を作るのに凝っていた。主婦……まではいかないが、一般の家庭料理ならある程度は作れるようになっていた。以前刹那やロックオンに食べてもらい、美味しいと太鼓判を押してもらった。
 アレルヤは今度はティエリアに食べてもらおうと、彼の私室を訪ねた。
「ティエリア、居る?」
「いるぞ? 何の用だ? アレルヤ・ハプティズム」
 相変わらずそっけない返事を返すティエリアに、アレルヤは言った。
「僕の手料理を食べてくれないかな。味の方は保証するよ。刹那やロックオンにも食べてもらったけれど、美味しいって言ってもらえたし」
 ティエリアは部屋の扉を開けた。
「どんな料理だ?」
「今日はシチューを作ってみたんだけど」
 ティエリアは僅かに逡巡したのち、
「じゃあ御馳走になろう」
 と答えた。
 とたんにアレルヤが嬉しそうな顔になる。
「じゃあ僕の部屋へ行こう。用意してあるから」
「食堂では食べないのか?」
「僕の部屋にイアンさんに頼んでキッチンをつけてもらったんだ」
 そうアレルヤは説明する。
「昼食、まだだろう? ティエリア?」
「ああ」
「じゃあ丁度良かった」
 やがてアレルヤの私室に到着する。アレルヤはカードキーで部屋の扉を開けると、ティエリアを招き入れた。
「さ、どうぞ」
「お邪魔する」
 アレルヤの私室に入るティエリア。彼の部屋は奇麗に片付いていて、アレルヤの几帳面な性格を表したようなイメージだった。
 アレルヤが火にかけていた鍋をテーブルに運んでくる。
 美味しそうな匂いがした。
 皿とスプーンを2人分用意して、アレルヤがシチューを盛り付ける。
 それはホワイトシチューだった。牛肉やニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、ブロッコリーなどがふんだんに使われている。
「さ、食べてみて」
 アレルヤに促され、ティエリアはシチューをスプーンですくって食べ始めた。
「美味しい……!」
「よかった。そう言ってもらえて嬉しいよ」
 アレルヤも自分の分を盛り付け、ティエリアと二人で食事を始めた。
「いつから作っているんだ?」
「3か月前くらいからかな。一度トレミーの食堂が故障したことあったじゃない」
「ああ」
「それから料理を勉強しようと思ってね。刹那に頼んで東京で売られている料理のガイドブックを買ってきてもらったんだ」
 アレルヤは食べる手を止め、話を続ける。
「それから食器や調理道具、鍋やフライパンなんかをそろえ始めて、暇を見つけては料理を作るようになったんだ。最初は失敗ばかりだったけれど、やっと人に食べてもらえる料理が作れるようになったんだ」
「そうなのか」
 ティエリアは空になった皿をどけて、アレルヤの話に聞き入る。
「貴方は器用だな。私には逆立ちしても真似できない」
「そんなことはないと思うけれど。ティエリアが料理作ったら上手いと思うよ。僕、食べてみたいな」
 ティエリアは僅かに頬を染めた。
「教えてくれるか?」
「もちろん! 大歓迎だよ」
「なら明日からでもいい。私に料理を教えてくれ。今日のシチュー、絶品だった」
 ティエリアが言葉を紡ぐ。
「有難う、ティエリア。じゃあ早速明日の昼食を一緒に作ろう」
「メニューは何にするんだ?」
 ティエリアが尋ねる。
「好きなものでいいよ」
「じゃあカレーライスを作ってみたい」
「カレーだね。判った。材料は揃っているし、2人分なら余裕で作れるよ。簡単な料理だからすぐ覚えるよ」
 アレルヤの言葉にティエリアは頷いた。
 そして席を立つと、アレルヤに礼を言った。
「今日は御馳走になった。有難う」
「お礼を言われるほどのことじゃないよ。こっちこそ、食べてくれて有難う、ティエリア」
「じゃあ、私は部屋に戻る」
「うん。じゃあまた明日ね」
 アレルヤは部屋を出ていくティエリアを見送った。
 明日が楽しみだ。アレルヤは内心ドキドキしていた。ティエリアと二人きりで一緒に料理を作れる日が来るなんて。密かにティエリアを想っているアレルヤにとっては夢のような時間だ。
 キッチンで洗い物をしながら、アレルヤは明日のことを本当に楽しみに胸の中へしまった。

FIN

2008年6月17日 (火)

ロックオン&刹那SS

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 ロックオンは日本のラーメンに大はまりしていた。以前刹那のマンションへミッションで泊まりに行ったとき、刹那が美味しいと勧めてくれた店がラーメン店だったのである。
 最初は初めて見る食べ物に戸惑ったが、食べてみると本当に美味しかった。それからロックオンはラーメンにはまり、ミッションがないときは、スメラギに許可を貰って日本へ行っては、あちこちのラーメンを食べ歩いているのだ。
 そして今日は刹那を連れて、東京の荻窪というラーメン激戦区へやってきた。
「よーし、3杯は食うぞ」
「そんなに食うのか」
 刹那が呆れ顔で言う。
「だってここは東京でも一、二を争うラーメンの聖地なんだぜ。いっぱい食わなきゃ損じゃないか」
「俺は一杯で遠慮しておく。太りたくない」
「その分運動すればいいじゃねえか」
「いいから行こう」
 こんな会話を交わしながら、ロックオンと刹那は行列の出来ているラーメン店を見つけると、最後尾に並んだ。
「何分待ちですか?」
 ロックオンが尋ねる。店員が答えた。
「大体1時間ですね。お待ちになられますか?」
「ああ。待たせてもらう」
 ロックオンはそう答え、ガイドブックを開く。ここは豚骨ラーメンがとても美味しいらしい。
「刹那、豚骨ラーメンは大丈夫か?」
「ああ」
「じゃ、俺の奢りだ。豚骨ラーメンを食おう」
 1時間後、二人は店に入った。
 カウンター席に案内される。店は大人気で、客でごった返していた。
「ご注文は?」
「豚骨ラーメン二つ」
「かしこまりました」
 店員が去ってゆく。やがて二人のカウンターに豚骨ラーメンが運ばれてきた。
 豚骨特有のいい匂いがする。
「じゃ、食うか」
「ああ」
 二人は箸を手にすると、ラーメンを食べ始めた。
「美味しい!」
「本当だ」
 その豚骨ラーメンは絶品だった。
 熱いのをふーふーさましながらロックオンと刹那は豚骨ラーメンを完食した。
「ああ、美味かった。さすがガイドブックでも東京で5本の指に入る店だけのことはあるな」
「ああ」
 ロックオンは席を立ち、代金を支払った。
「よし、次行くぞ」
「すぐに行くのか?」
「いいからいいから。奢るから次も食えよ」
「腹一杯なんだが」
「食えるって」
 そんな会話を交わしながら、ロックオンと刹那は次の店に向かう。
 最初の店から歩いて5分。ここも行列が出来ていた。30分待ちとの看板が出ている。ロックオンと刹那はその最後尾に並んだ。
「今度はあっさり系で行こう。それなら食えるだろ?」
「まあ、そう言うなら」
 30分後、二人は店に入った。
 そんなラーメンづくしの一日を過ごしながら、ロックオンと刹那の休日は過ぎて行くのだった。

FIN

2008年6月12日 (木)

ガンダムマイスターSS

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 ロックオンは、深夜ネットめぐりをしていて、奇妙なサイトを見つけた。イオリア・シュヘンベルグのことを探っているらしい、日本の小さな放送局の、絹江・クロスロードという女性記者のブログだ。
 核心には触れていないが、彼女なりにかなり詳しく調べているらしい。ロックオンも知らない記事まで載っていて、興味をひかれた。
「ん? クロスロード? 確か刹那のマンションのお隣さんがそんな名字だったような……」
 ロックオンはまだ起きていてくれよと思い、刹那の携帯端末を鳴らした。数秒後、刹那が対応にでる。
「何だ? ロックオン。そろそろ寝ようと思っていたが」
「刹那、お前のマンションのお隣さんって、確かクロスロードとかいう名字だったよな」
「ああ」
 刹那の答えにロックオンは確信を持った。
「絹江・クロスロードって知っているか?」
「ああ。隣に住んでいる沙慈・クロスロードの姉だ」
「その人、マスコミ関係の人間だろう?」
 刹那はそうだったかな? と思い返事をする。
「確かどこかの放送局に勤めているとか何とか聞いたが」
「ビンゴ! 当たりだな。刹那、後でURL転送するから朝になったらそこのサイト見てみろ。イオリア・シュヘンベルグやソレスタルビーイングについてかなり詳しく調べている。俺の知らない情報まで載っていたぞ。お前、絶対にガンダムマイスターだって気づかれるなよ」
「そうなのか、判った」
 刹那はそう答える。ロックオンはじゃあな、と通信を切った。
 一個人にできることはたかが知れている。だがマスコミの力を侮ってはいけない。刹那はひとつ小さなあくびをすると、翌朝、ロックオンの言う通り、そのサイトを見ようとベッドに入った。

 翌日。刹那はパソコンを立ち上げ、転送されてきたURLから絹江のブログを見ていた。イオリア・シュヘンベルグが200年前に死んでいること、ソレスタルビーイングの戦力がガンダム4機のみ、武力介入の結果、世界情勢がどう変わって行ったかを詳しく述べてあった。これは危険だなと刹那は思う。
 経済特区・東京は中立を貫いているものの、いつどうなるか判らない。現にこの前もテロがあったばかりだ。
 かと言って放送局に武力介入する訳にはいかない。これ以上絹江が首を突っ込んできたら……刹那は枕の下に隠し持っている銃を取り出した。殺すのもやむを得ないと。
 だが、結局それは果たされなかった。絹江がアリー・アル・サーシェスに殺されたことは記事にもならなかった。AEUの圧力で記事がもみ消されたのだ。その事実を知らぬまま、刹那達は連合軍との最終決戦を迎えていた。
 ロックオンが散ってゆき、ガンダムマイスター全員もボロボロになるまで戦った。プトレマイオスは沈み、キュリオス、ヴァーチェ(ナドレ)も戦闘不能状態まで追い込まれた。刹那はただ一人、ボロボロのエクシアでカスタムフラッグと壮絶な戦いを繰り広げた。両者はほぼ相討ち状態となり、やっと戦闘は終わった。
 多くの犠牲を出し、ソレスタルビーイングはほぼ壊滅状態となった。だが連合軍もそれは同じだった。ガンダムマイスターの戦いが正しかったのか。それは誰にも判らない。
 だが、世界の紛争を少しでも減らすことができたのは事実だ。逆に世界の軍が一つになり、地球は4年間の間、平穏な状態だった。4年の雌伏の間、ガンダムマイスター達がどう成長して行ったかは、今後語られることになる。そして彼らの戦いが正しかったのかという歴史的評価も100年も経てばなされるだろう。

FIN

2008年6月11日 (水)

ロックオン&刹那SS

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 ロックオンは経済特区・東京の刹那のマンションを訪ねた。
 目的はミッションのため、地球に滞在するためである。
 マンションに着き、インターフォンを押す。
 返事がない。留守なのか? ロックオンは携帯端末で刹那を呼び出した。
 しかしこちらも返事がない。
 ロックオンは嫌な予感がして刹那の部屋のドアを思いっきり力をこめて開いた。
 扉はあっけなく開く。
 部屋の中央に刹那が倒れていた。
「刹那!」
 ロックオンが駆け寄る。
 刹那を抱き起こす。凄い熱でぐったりしている。
「水……」
 刹那がうわごとのように水を求める。ロックオンは刹那をベッドに寝かせると、キッチンへ行ってコップに水を汲んできた。
「おい、刹那。水だぞ。飲めるか?」
「う、うん」
 漸く刹那が目を開いた。
 ロックオンは刹那を抱き起こすと、口元にコップを持っていく。
 刹那はごくごくと水を飲んだ。
「まったく……いつからこんな状態なんだ?」
「一昨日あたりから頭が痛くて……」
「何で俺達に連絡しないんだ!」
「すぐ治ると思ったから……」
 ロックオンは肩を竦めた。
「いいから今日は寝ていろ。明日からミッションだ。それまでに治ってもらわなければ困る。これから薬買ってくるから。頭痛薬と風邪薬でいいのか?」
 刹那はこくんと頷く。
「じゃ、行ってくる。汗かいてるんだからパジャマに着替えろよ」
 ロックオンは刹那の部屋から出て行った。刹那はのろのろと起き上がると、頭痛と戦いながら服を着替えた。
 再びベッドに横になる。携帯端末が鳴った。ベッドサイドのテーブルに置いてあるそれをオンにする。
 ロックオンからだった。
「何か食いたいものはあるか?」
「食欲がない」
「ダメだ。何か食わないとミッションに響く。適当に食えそうなものを買って帰るからちゃんと食え。薬は食わなきゃ効かないんだからな」
 そう言うとロックオンは通信を切った。
 20分後、ロックオンが戻ってきた。スーパーのビニール袋を持っている。
「ヨーグルトを買ってきた。これなら食えるだろう?」
「ああ」
 刹那は身を起こした。ロックオンが皿に盛り付けてくれたヨーグルトを口に運ぶ。
 500グラム何とか全部食べ終わると、頭痛薬と風邪薬が差し出された。
「ほら、水」
「ああ」
 刹那は素直に薬を飲む。
「本当は医者に連れて行きたいところだが、機密を漏らす訳にはいかないからな。それで我慢してくれ」
「大丈夫、大分気分が良くなってきた」
 刹那が言う。
「いつから食っていないんだ?」
「3日くらいかな」
「お前な……、そんなに俺達が頼りないか? 連絡入れろよ」
「悪い。迷惑だと思って……」
「こうなる方が迷惑だよ。兎に角今日はおとなしく寝ていろ。ミススメラギには俺から事情を話して明日のフォーメーションを変えてもらう」
 ロックオンは刹那に言い聞かせるように言った。
「判った」
 刹那が素直に頷く。
 そして毛布を頭まで被った。
 薬の影響なのか、瞼が重くなる。
 刹那は寝息を立て始めた。
 ロックオンはスメラギに連絡を入れる。
『そう、困ったわね』
「ミススメラギ、刹那はバックアップに回してください。これじゃまともに戦えません」
『判ったわ。もう一度ヴェーダとミッションプランを練り直してみるから、貴方は刹那の看病を宜しくね』
「了解です」
 そう言い、ロックオンは通信を切った。
 眠っている刹那の額に掌を当てる。大分熱は下がったらしい。これなら明日までには回復するだろう。
 ロックオンは刹那の部屋にあるソファーに予備の枕と毛布を持っていくと、着替えて横になった。ミッションは明日だ。明日になればアレルヤやティエリアも地球に降りてくる。気を抜かないようにしないとな、と思いながらロックオンは眠りについた。

FIN

2008年6月10日 (火)

ガンダムマイスターSS

875  今日はガンダムマイスターの月に一度のミーティング。刹那はそのために経済特区・東京からトレミーへ帰ってきていた。
 午後1時、ブリーフィングルームに4人全員が集まる。
 リーダーであるロックオンが進行役をつとめた。
「じゃあ刹那、地球での具体的な情報を教えてくれ」
「判った」
 刹那はそう言うと、今までまとめていたレポートをほかの3人へ携帯端末から転送した。
 アレルヤが感心したように言う。
「やはりユニオンの動きが気になるね。このオーバーフラッグスって言う対ガンダム調査隊」
 ロックオンは苦笑いした。
「俺も刹那もここのカスタムフラッグには苦戦したからな」
「ロックオンなんか拉致されそうになったからね」
 アレルヤが言う。
「あそこの隊長とやらは変態じゃないのか? 俺のことを眠り姫とか言ったり、抱き締めたいとか言ったり」
「常に外部スピーカーをオンにして戦っているのもおかしい」
 刹那がつづけて言う。
「第一グラハム・スペシャルって技なんだよ。意味判んね~」
「私たちも何か必殺技でも作るか?」
 ティエリアが言う。
「おいおい本気か、ティエリア」
「ティエリアにはナドレというとっておきがあるじゃない。わざわざこっちの戦力が判るような必殺技作る必要はないと思うよ」
 アレルヤが宥めるように言う。
「そう言うアレルヤだって、人革連との戦闘中、よく人格が変わるじゃないか」
「あれは……」
 ロックオンはその場を収めるように言った。
「まあまあ。あまり熱くなるな」
 そこへフェルトが差し入れを持ってやってきた。
「……皆さん喉が渇いたでしょう? スポーツドリンクだけど飲む?」
「有難う、フェルト」
 ロックオンはそう言うと、4人分のドリンクを受け取った。フェルトがブリーフィングルームから出ていく。
 一同は休憩することにした。
 刹那がドリンクを飲みながら言う。
「ガンダムもパワーアップが必要な気がする」
「それは難しいな」
 ロックオンが言う。ガンダムは特殊な合金で出来ており、GNドライヴの起こす負荷に耐えられるだけの素材でないと作れないのだ。だから量産が効かず、4人に1機ずつしか与えられていない。
 トレミーにいるメカニックはイアンのみ。この前デュナメスの装甲を強化して貰ったばかりだ。エクシアにはセブンソードが与えられた。これ以上望むのは難しい。
「僕たちのしていることは正しいんだろうか」
 アレルヤが言う。
「当たり前だ。アレルヤ・ハプティズム。ガンダムマイスターとして私は正しいことをしている」
 ティエリアがにべもなく言う。
 勝算の見えない戦いに身を投じているガンダムマイスター4人は、各々それぞれの理由でソレスタルビーイングに参加している。
 それでも明日を信じて戦うしかない。今は。
 ロックオンが言った。
「難しい話はこれで終わり。各自ゆっくり休んでくれ。明日からまたミッションだ」
「了解」
 3人は同時に答えた。

FIN

2008年6月 9日 (月)

ロク刹SS

「眠れない……」

 刹那はそう言うと、深夜枕を抱えてトレミーのロックオンの部屋を訪ねた。

「ロックオン、起きてるか?」

「ああ。起きてるぜ。今寝ようとしていたところだ。入ってこいよ」

 扉が開く。刹那は枕にパジャマという格好でロックオンの部屋に入った。

 ロックオンは呆れたように言う。

「お前、眠れないのか?」

「昼間コーヒーを飲みすぎた」

「だからお子様はミルクにしとけって言うんだ」

 刹那はばつの悪そうな顔になる。

「ロックオン……一緒に寝てもいいか?」

 ロックオンの表情が驚きに変わる。

「まあ、構わないが……。狭いぞ」

「眠れれば構わない」

 そう言うと、刹那はロックオンの部屋のベッドに入った。枕を2つぽんぽんと並べ、ぱふりと音を立てて枕に頭をつける。

 ロックオンもベッドに入った。

 刹那のぬくもりが感じられる。

「もうコーヒーの飲みすぎは止めとめよ」

「ああ」

 そう言うと、刹那は瞼を閉じた。二人分のぬくもりで、ベッドの中は心地よい。

 刹那は瞼を閉じて3分もしないうちに深い眠りに落ちた。

 ロックオンはそんな刹那を見つめる。

「う~ん、ガンダム……俺がガンダムだ」

 刹那が寝言を言う。それを聞いてロックオンはくすりと笑った。刹那を起こさないようにそっと腕枕をしてやる。

「本当にお前はガンダム馬鹿なんだなぁ」

 すると刹那は、寝ている時の癖なのか、ロックオンに抱きついてきた。

 再び驚くロックオン。ロックオンは再び刹那を起こさないよう、注意を払いながらそっと抱き締めてやる。

 すると刹那もぎゅっと抱きついてきた。

「ロックオン……」

 再び刹那が寝言を言う。一体どんな夢を見ているのやら。

 やがてロックオンも眠気に負け、瞼を閉じた。二人は抱き合ったまま、静かな眠りについた。

 刹那の寝息が心地よく感じられる。

 ロックオンはその夜、家族の夢を見た。久しぶりに人のぬくもりを感じて眠ったせいだろうか。長らく見ていなかった家族の幸せな夢を見て、ロックオンは朝までぐっすり眠った。そして刹那も。刹那はガンダムの夢でも見ているのだろうか。

 それは本人にしか判らない。まるで兄弟のように仲良く眠る二人は、厳しいミッションの疲れを癒すべくただ静かに眠るのだった。

FIN

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2008年6月 8日 (日)

アレティエSS

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 アレルヤはティエリアを食事に誘った。アレルヤはてっきり断られると思っていたが、意外にもティエリアの返事はオーケーだった。
「何が食べたい? ティエリア」
「そうだな……」
 軌道エレベーターで地球に降りる最中、アレルヤがティエリアに問う。
「寿司というものを食べてみたい。確か日本食だったはずだ」
「寿司だね。僕は一度食べた事あるから判るよ。わさびが入っているけれど大丈夫かい?」
「ああ」
「判った。じゃ、お寿司屋さんへ行こう」
 こうして二人は経済特区・日本の寿司屋へ行くことになった。
 やがて日本に到着する。
 刹那の住む東京へ向かう二人。
「刹那には挨拶していく?」
「別にその必要はない」
「そう」
 ティエリアのにべもない言葉に、アレルヤは苦笑する。
 やがて東京に着いた。
 アレルヤはガイドブックを開いて東京でも美味しいとされている寿司屋を探す。
「どうだ? 見つかったか?」
「うん。ここからそう遠くないみたいだ。タクシーを拾って行こう」
 アレルヤはそう言うと、タクシーを拾うため手を挙げた。
 一台のタクシーが二人の前に止まる。
 アレルヤはタクシーに乗り込むと、ガイドブックを運転手に見せてそこへ行きたい旨を伝えた。
「判りました。ここからそう遠くないですね。お客さん」
「近くて済みません。お願いします」
 タクシーは出発した。車内でアレルヤがティエリアに問う。
「たことかいかとか大丈夫?」
「生で出てくるのか?」
「うん」
「それはちょっとパスしたいな」
「マグロは?」
「それは大丈夫だ」
「良かった。何も食べられるものがなかったらどうしようかと思った」
 アレルヤは胸をなでおろす。
「巻物や卵も好きだぞ」
「そう。大丈夫、巻物も卵もあるよ」
 やがてタクシーは寿司屋に到着した。
 アレルヤが代金を払い、二人はタクシーから降り、寿司屋に入る。
「いらっしゃいませ! お客様、カウンター席がよろしいですか? それともテーブル席がよろしいですか?」
 店員が問う。
 アレルヤは、
「テーブル席をお願いします」
 と言った。
 店員に案内され、テーブル席に着く。
 アレルヤはティエリアの苦手なものが無いよう、細心の注意を払って注文する。
「かしこまりました。マグロ、ハマチ、コハダ、ヒラメ、巻物お任せ、卵、茶碗蒸し、みそ汁、デザートにアイスで宜しいですね?」
「ああ。それでいい」
 店員は礼をすると厨房に注文を通した。人気店らしく、次々と客が入ってくる。
 親子連れがひと組入ってきた。
 子供がアレルヤたちを見ると
「あ、デートしてる人たちがいる~!」
 と指さした。
 アレルヤとティエリアは真っ赤になる。
「で、デートってわけじゃないからね」
「あ、ああ」
「お姉ちゃん美人だね~」
 子供が言う。確かにティエリアは美少女に見えた。
 アレルヤが優しく言う。
「君、この人は男だよ。お姉ちゃんじゃない」
「そうなの~」
 子供は首を傾げる。
「ほら、雄太、行くわよ」
 母親らしき女性に促され、子供は去って行った。
 やがて二人のテーブルに注文した寿司が運ばれてきた。
「頂きます」
 二人は手を合わせると、寿司を食べ始めた。
 箸を持つ手がぎこちない。
 アレルヤはティエリアの分を取り分けると、自分の手で寿司を取り、ティエリアの口元に持って行った。
「口を開けて」
「一人で食べられる」
「いいから」
 仕方なく、ティエリアはアレルヤの言う通りにした。
 マグロの味が口いっぱいに広がってゆく。
「美味しい?」
「ああ。美味しい」
「良かった」
 今度はティエリアがアレルヤの分を取ると、手に持ってアレルヤの口元に持って行った。
「え? 自分で食べるよ」
「私だけなんてずるい」
「判った」
 アレルヤは口を開けた。
 ハマチを一口で食べるアレルヤ。
「美味いか?」
「うん。美味しい」
「本当にデートみたいだな」
「え? そ、そう?」
 再び二人は真っ赤になった。
 やがて注文したものを全て食べ終わり、アレルヤは会計を済ませた。
「私も払う」
「いいよ。僕が誘ったんだから」
 そして二人は寿司屋を出た。
「ちょっと散歩して、お茶でも飲もう」
「ああ」
 二人は気づいていなかった。本当にデートしているのと全く同じだということを。

FIN

2008年6月 5日 (木)

00コミケネタSS

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 ロックオンは、隠れオタクのティエリアに、コミケの売り子を頼まれた。コミケという単語は初めて聞く。何のことだか判らないので、ティエリアにそれとなく聞いてもごまかされるだけ。ロックオンは意地になって、コミケのことを調べようと、アレルヤに聞いてみた。
「え? ロックオン、ティエリアに頼まれたの?」
「ああ」
「そうか……それはご愁傷さま」
 以前ティエリアに頼まれてコミケの売り子をしたことがあるアレルヤは、ただ一言そう言った。
「詳しいこと知っているのか?」
「聞かないでくれ。思い出したくない」
 そう言うと、アレルヤは自室に閉じこもってしまった。
 ロックオンは何としてもコミケのことを知ろうと、ネットで検索をかけてみた。
 すると……。
「3日間で20万人来るビッグイベント!? 聞いてねえぞ!」
 ロックオンは慌ててティエリアを呼び出した。
「おい。こんな規模のでかいイベントだなんて聞いてねえぞ」
「なに、私のサークルに来るのは1000人程度だから心配するな。刹那にも声をかけてあるし」
 ティエリアがにべもなく言う。
「刹那も犠牲にするのかよ、お前。つーか、1000人で何? その人数! 3人でさばけるのかよ」
「なーに、バイト代ははずむ。頑張ってくれ」
「おいティエリア!」
 ロックオンの抗議の声を無視してティエリアは行ってしまった。何でも締切とやらが近いらしい。
 ロックオンは刹那の部屋を訪ねた。
「おい、刹那、いるか?」
「ああ」
 刹那が部屋から出てきた。
「お前、ティエリアにコミケの売り子を頼まれたんだって?」
「ああ。ロックオンも一緒だと聞いた」
「3日間で20万人来るイベントだぞ。しかもティエリアのサークルには1000人も来るらしい。3人だけで大丈夫か?」
「まあ何とかなるだろう。ハロも連れて行けば」
 刹那は淡々と言う。

 そしてコミケ当日がやってきた。
 朝5時に起こされ、ロックオンと刹那はティエリアの後をついて行った。
「眠い……」
「俺もだ」
「ぐだぐだ言わない! 今からそんな調子じゃ本番で死ぬぞ」
 ティエリアが恐ろしいことをさらっと口にする。サークル入場チケットを渡され、3人は経済特区・東京のビッグサイトへ到着した。
 徹夜組を含め、辺りは人人人。ロックオンと刹那はうんざりといった表情だ。
 ティエリア一人が浮き浮きしている。
「あ、ヴェーダ先生だ!」
 ティエリアを見つけた列の女性が言う。
「ヴェーダの名前をペンネームに使っているのかよ」
「仕方ないだろう。情報を漏らす訳にはいかないのだから」
「ヴェーダ先生! 今回新刊は?」
 数人の女性が声をかける。
「3種類だ。まとめて買うと2000円なので宜しく」
 ティエリアが答える。
「3冊で2000円って、どんな本だよ」
「ロックオン×刹那の18禁本だ」
「勝手に人の体を使って遊ぶなぁぁぁ!」
「まったくだ!」
 だがティエリアはそれを無視すると、サークル入場口へ向かった。
「今日は1000部搬入してある。一応これでも大手サークルなのでそのつもりで。1000人の客を捌いて欲しい」
 イベントが始める前からがっくりとうなだれているロックオンと刹那。
「私はスケッチブック描きや委託書店の方とご挨拶しなければならない。戦力外と考えろ。大体午前中で売り切れるから開始2時間が勝負だ」
「あの、帰ってもいいでしょうか?」
「俺も」
 ロックオンと刹那が尋ねる。だがティエリアは一言
「ダメ」
 と言った。
 サークルゲートから東館へ入り、A-1と書かれた机へ向かう。すでに印刷所から本が届いているらしく、机の後ろには山のように本が梱包されて積まれていた。
 3人はおとなしく梱包された段ボールを開き、本を取り出して並べていく。
 本の表紙は半裸のロックオンと刹那がベッドの上で絡んでいるもの。刹那は思わず顔を真っ赤にした。ロックオンはもう半ば自棄になっていた。既刊とあわせて6種類の本が机にうず高く積み上げられる。
「なあ刹那」
「何だ」
「本の表紙飾っている本人が売り子ってどうよ」
「もうやるしかないだろう。ここまで来たんだから」
 やがて一般入場が始まった。
「ただいまよりコミックマーケット第743回を開始致します。なお、場内は走らないでください」
 アナウンスの声もむなしく、ティエリアのサークルめがけて突進してくる女性多数。
「怖ええええ!」
「まあまあ。大丈夫だ」
「もう帰りたい……」
 ドドドと音を立てて女性たちが机に突進してきた。
「新刊セット2部ください!」
「私は3部!」
「新刊セット1部ください!」
「私も!」
「キャー! この人ロックオンさんと刹那さんじゃない? 本物を見られるなんてラッキー!」
「本当だわ」
「ヴェーダ先生! スケブお願いします! ロックオン×刹那で」
「30分くらいかかりますが宜しいですか?」
「はい!」
「私も!」
「私もお願いします!」
 次々に本が売れてゆく。ロックオンと刹那はそれを捌くのに必死だった。
「とらのあなのコーラサワーと申しますが」
「おい、ティエリア、客だぞ」
 スケブに夢中になっていたティエリアが顔を上げる。
「いつも有難うございます」
「新刊は3種類ですね。委託は明日からで宜しいですか?」
「はい。お願いします」
 ティエリアとコーラサワーはそんな会話を交わす。
 その間ににも本は次々と売れてゆく。
「うわああ! もう限界だぁ!」
「泣き言を言うな、ロックオン。まだ500部も残っている」
「そんなにあるのか」
 どんどんお札が段ボールの中に積み込まれ、本が捌けてゆく。
 そして午後12時ジャスト、本はすべてなくなった。
 ティエリアが「完売です」との看板を取り出す。
「二人ともご苦労だった。あとは売り上げを持って帰るだけだ」
「お、終わった……」
 ロックオンがつぶやく。刹那は魂の抜け殻のようになっていた。
「ただまだスケブを描き終わっていないから、それまでは帰れないからな。ここは私に任せて食事にでも行ってくれ」
 ロックオンと刹那はやれやれとその場を後にする。
 二人はビッグサイト内のレストランに入った。
 ティエリアの新刊を手にした女性たちが隣のテーブルで食事をしている。
「やっぱり誘い受けよね~」
「強引なのも好き」
「ヴェーダ先生、今回も快調ね」
「ロク刹最高!」
「あら、グラロクも良いわよ」
 会話を聞いていたロックオンと刹那は頭が痛くなった。早々に食事を済ませ、店を出る。
 ティエリアの元へ戻ると、丁度スケブを全部描き終わったところだった。
「あとは持ち主が取りにくれば帰れるぞ。夕飯は私が奢る。バイト代も払うからな」
 やがて全てのスケッチブックがなくなった。
 3人は帰り支度をする。
 ロックオンと刹那は、2度とこんなバイトやるものかとひそかに心に決めた。
 そしてささやかな打ち上げが終わると、3人はプトレマイオスへ帰って行くのだった。

FIN

2008年6月 4日 (水)

ロク刹SS

15273076_3538404671  ロックオンと刹那は、休日のデートを楽しんでいた。
 ここ暫くはミッションもない。
 二人は経済特区・東京の刹那のマンションの近くにあるカフェでお茶を飲んでいた。
 ロックオンはエスプレッソ、刹那はコーラフロートを注文した。
 刹那がコーラフロートのアイスをぐずぐず崩しながら言う。
「トリニティ達のことをどう思う?」
「ああ、あいつらか」
「俺のセカンドキスを奪った女がいた」
 刹那は腹立たしげに言う。
「まあ。気にしなさんな。お前には俺がいる」
 ロックオンが刹那の髪をくしゃりと撫でるとそう言う。
「でも……」
「それよりユニオンの動きの方が心配だ。対ガンダム調査隊なるものが作られたんだろう?」
「そうだな」
 確かにユニオンはソレスタルビーイングに対して過敏なまでの反応をしていた。オーバーフラッグスという部隊が作られるほどである。
 その隊長、グラハム・エーカーのカスタムフラッグに、刹那もロックオンも苦戦した。次にまみえたとき勝てるか判らない。
 だからこそ、情報が欲しいのだが、スメラギ達の尽力によってもその内情をうかがい知ることは出来ないでいた。
 そのことがガンダムマイスターとしても歯がゆかったし、危機感も感じていた。
 AEU、人革連は今のところ目立った動きはしていない。ユニオンだけが突出している感じだ。
 それがガンダムに心奪われた男が上層部に強く働きかけ、出来た部隊だということを、二人はまだ知らずにいた。
「兎に角、今日は休日なんだ。ゆっくり楽しもうぜ、刹那。次、どこ行きたい? どこへでも連れていってやるぞ」
「じゃあ海が見てみたいな」
「海だな。東京湾でいいのか?」
「ああ」
 そして二人はカフェから出ると、ロックオンの車で東京湾に向かった。刹那は海を見るのが好きだった。今は亡き故郷・クルジスには美しい海はなかった。波がさざめいているのを見るだけで、刹那の心は落ち着く。親殺しというすさまじい過去を持つからこそ、落ち着いた風景を求めるのかも知れない。それはロックオンも同じだった。幼い頃、テロで家族を失い、ただ一人生き残ったとき、ロックオンは絶望感を味わった。だが幼いながらも海辺近くの叔父の家で働き始めた頃、やっと落ち着きを取り戻した。暇を見つけては通った浜辺を思い出す。
 二人はそれぞれの思いを抱え、ただざわめく春の海を見つめるのだった。

FIN

2008年6月 2日 (月)

刹那SS 全年齢向け

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 刹那は夜中にぱっちりと目を覚ました。ベッドに入ったのが夜9時過ぎ。ちょっと早く寝すぎたのかも知れない。刹那は灯りをつけると、冷蔵庫を開け、ミルクを取り出した。
 カップに入れて電子レンジで温める。寝なおす気になれず、刹那はホットミルクを飲みながら、テレビのスイッチを入れた。
 世間一般でいう萌えアニメとかいうものが放映されている。
 刹那は特に見るものもなかったので、見ることなしにそれを見ていた。
 突然画面が濡れ場になり、思わずミルクを吹きそうになる。アニメでも実写でも、この時間帯は成人向け番組が放映されていた。
「あっ! ああっ!」
 女性声優の喘ぎ演技に、刹那は黙ってテレビを消した。お子様の刹那には刺激が強すぎる。ロックオン辺りなら喜んで見ているかも知れないが。
 刹那は昨日の夕刊を拾うと、それをテーブルに広げて読み始めた。昨日一度読んだものだが、時間つぶしには丁度良い。いまどき紙に印刷したメディアなど、時代遅れもいいところだが、常に証拠が残るところが気に入っていた。念のため、携帯端末をオンにする。スメラギとフェルトがトレミーのブリッジで深夜番をしていた。
「あら刹那。珍しいわね。こんな時間に通信なんて」
「ちょっと眠れないだけだ」
「……だからホットミルクを飲んでいるの?」
 フェルトが問う。
「ああ」
 刹那は最後の一口を一気に飲むと、スメラギに言った。
「明日のミッションの予定は?」
「無いわ。ここ一週間平和なものね。貴方も休暇だと思ってゆっくり休んで頂戴」
「そうさせてもらう」
 刹那はそう言うと、携帯端末をオフにした。
 途端に眠気が襲ってくる。
 ミルクの効果だろうか。
 刹那はベッドに入った。
 ゆっくり瞼を閉じる。するとたちまち刹那は眠りについた。夢も見ず、朝までぐっすり眠った。

 ふと、目を覚ます。
 時計を見ると時間は午前9時。寝すぎてしまった。
 刹那はニュース番組を見るためテレビをつけた。
「ユニオンの新たなるエース候補を集めたオーバーフラッグスの特集です」
 アナウンサーの言葉に、刹那は画面に見入る。
「グラハム・エーカー?」
 その男が画面に映っていた。金髪で端正な顔立ち。すっと通った鼻筋。女性なら誰もが一目惚れしてしまうような顔立ちだった。
『これが私の乗機。カスタムフラッグです』
 グラハムがインタビューに答え、画面にフラッグが映る。
「あのフラッグ……」
 一度戦い、大苦戦した相手だったことを思い出す。
 そのとき、携帯端末が鳴った。刹那は携帯端末をオンにする。
 相手はロックオンだった。
「刹那、今ニュース見てるか?」
「ああ。ユニオンのオーバーフラッグスの特集をやっている」
「まあ、テレビのことだかから、あまり深いところまで取材はしないだろうし、規制のかかった部分はカットされているだろうがな。一応最後まで見ておけ。俺達も今見ているところだから」
 そう言うと、ロックオンはじゃあな、と通信を切った。
 刹那はニュースに見入る。レイフ・エイフマンという教授が紹介された。
 どうやらカスタムフラッグの産みの親らしい。そしてエイフマンはイオリア・シュヘンベルグについて探っていると話していた。
 最大の強敵になりそうだな……刹那はそう思い、テレビに見入るのだった。

FIN

2008年6月 1日 (日)

アレルヤSS

15273076_2157272562s  アレルヤの部屋のパソコンが寿命を迎えた。長年……7年間使用されていたもので、イアンからのお下がりだ。もうOSも古く、最新のバージョンに変更せよと何度も警告メッセージが出ていた。で、今日起きてパソコンのスイッチを入れたら見事ご臨終だったわけだ。
 アレルヤはパソコンのコードと電源を外すと、イアンの元へ行った。
「イアンさん。僕に譲ってくれたパソコンがもう寿命みたいです。新しいマシンはありませんか?」
「そうか……新しいものを回してやりたいのは山々だが、俺のところにも1台しかなくてな。スメラギさんに許可を貰って、日本の秋葉原にでも行ってパソコンを買ってきたらどうだ?」
 イアンがいう。
「最新のモデルだと、相場はいくらぐらいですか?」
「そうだなぁ」
 イアンは考え込んだ顔になる。
「ま、日本円で15万ってところだな」
「高いですね……」
 アレルヤは溜息をつく。所持金ぎりぎりだ。
「でも一応所持金で15万はありますし、足りなかったらロックオンにでも相談して借りて見ます。有難うございました」
 アレルヤはそう言うと、イアンの元から去った。
 そしてロックオンの部屋へ向かう。
「ロックオン、相談があるんだけれど」
「どうした? アレルヤ」
 ロックオンが部屋から出てくる。
「パソコンがいかれちゃってね。新しいものを買いたいんだけれど、所持金がぎりぎりなんだ。少し貸してくれないか?」
 アレルヤは思いきって言った。
「ああ。いいぜ。いくら必要なんだ?」
「今持っているのが15万なんだけれど、パソコンの値段もそれぐらいかかるらしい。軌道エレベーターを使うお金がないんだ」
「じゃ、五万貸すぜ」
 ロックオンは財布を取りだし、アレルヤに五万渡した。
「返すのはいつでもいいからな。利子もなしだ」
「助かったよ、ロックオン」
 アレルヤはそう言うと、スメラギに地球へ降りる許可を貰いに行った。

 数時間後。
 アレルヤは経済特区・東京の秋葉原に来ていた。
 デブでアニメのキャラが描かれたTシャツに萌えアニメやゲームのキャラが描かれた紙バックを持ったオタク男が大勢歩いている。
「(何だか怖いところに来てしまったな……早く用事を済ませて帰ろう)」
 アレルヤは家電量販店へ入って行った。
 パソコンのフロアに向かう。
 そこには最新モデルのパソコンが、所狭しと並べられていた。
 値段を見ると、大体15万前後のものが殆どだった。アレルヤはスペックを詳しく見て、店員を呼んだ。
「済みません。これが欲しいんですけれど」
 アレルヤが選んだのはDELLというメーカーの最新型デスクトップだった。
「お客さん、運がいいですよ。これ、実は最後の一台なんです」
「本当ですか? ぜひお願いします!」
 アレルヤは嬉しそうに言った。
 カウンターで代金を払い、梱包してくれるのを待つ。
 やがて店員が梱包されたパソコンを紙袋に入れて持ってきた。
「お客さん、東京住まいですか?」
「いえ、事情があって宇宙にいるんです」
「じゃあもっと頑丈に梱包してきます」
 店員は再びカウンターの中に入った。
 数分後、かなり頑丈に梱包されたパソコンを持って、店員が戻ってきた。
「ではこちらになります」
「どうも有難う」
 アレルヤはそう言うと、パソコンを持って店を出た。
 すると、店の外で見知らぬ男性に話しかけられた。
「貴方、いいルックスしてますね。執事喫茶で働きませんか?」
「え?」
「今流行なんですよ。お年は?」
「19歳です」
「ならうちの店にぴったりだ! ぜひ来てください」
 アレルヤは戸惑った。
「あの、僕用がありますし、この荷物もありますんで」
「そうですか。残念だな。気が変わったらこの名刺にある電話番号へ連絡を下さい。高収入でお迎えしますよ」
「はあ」
 アレルヤは名刺を受け取った。
 秋葉原にはメイド喫茶も山ほどある。
「ご主人様、当店へいらっしゃいませんか?」
 ゴスロリ風のメイド服を着た若い可愛い女性から声を掛けられる。
「いや、僕は用があるから」
 そんな会話をあちこちで交わす。
 漸く秋葉原の駅へ着くと、アレルヤは軌道エレベーターまでの切符を買い、電車に乗った。そして無事軌道エレベーター入り口へたどり着く。
「疲れた……」
 重たい荷物を持って長時間電車に乗っていたのだ。疲れて当然である。
 そしてアレルヤは宇宙に帰って行った。セッティングをイアンに頼んであるので、あとは現物を持って帰るだけだ。
 しかし次の給料日まで、欲しいものがあっても我慢しなければならないだろう。すでに所持金は殆どない。一瞬、例の執事喫茶のことが頭に浮かんだが、アレルヤは首を振ってそのことを忘れた。
 トレミーに着き、荷物を解く。程なくしてイアンがアレルヤの部屋にやってきた。
「ほほう。DELLの最新モデルか」
「はい。イアンさん。セッティング頼みます」
「任せておけ」
 イアンはそう言うと、さっそく古いパソコンをどかし、新しいパソコンのセッティングを始めた。
 ほどなくしてセッティングが完了する。
「この古いパソコンはどうする?」
「次の給料日が来たら、業者のところへ持ち込んで処分してもらいます」
「それがいいだろう」
 アレルヤはその夜から、快適なマシン環境でネットめぐりを楽しむのだった。

FIN

ロックオン&刹那SS

1212121024797652  ロックオンの携帯が鳴った。また迷惑メールだ。ロックオンは溜息をつくと、その迷惑メールをブロックして消した。待ち受けサイトに登録してから、ここのところ毎日のように迷惑メールが来る。ミッションのこともあるため、ロックオンは携帯を買いかえることにした。
 スメラギに地球へ降りたい旨を伝え、軌道エレベーター・天柱へ向かう。
 幸い今日はミッションはない。マイスターの皆は思い思いに休息を取っている。
 やがて地球行きのシャトルがやってきた。ロックオンは買ってあったチケットを係員に見せると、経済特区・東京へ向かって飛び立った。

 数時間後、ロックオンは経済特区・東京に到着した。
 まずは刹那のマンションを訪ねる。
 玄関のインターフォンを鳴らすと、寝ぼけた顔の刹那が出てきた。枕を抱えている。寝癖が髪についていてなんだか可愛らしい。
「今まで寝てたのか?」
「昨日ゲームのやり過ぎで寝たのが午前4時だった……」
 そ言うと、刹那はふわあと欠伸をする。
 ロックオンがプレゼントしたプレイステーション3のオンラインゲームに刹那が嵌っていることは、ロックオンも知っていた。
「余りゲームをやりすぎるなよ。目が悪くなる」
「判っている。ところで用はなんだ?」
 ああ、という顔になってロックオンが答える。
「俺の携帯を新しいものに変えようと思って。刹那、この辺で大きな携帯ショップ知ってるか?」
「ああ。あるぞ」
「案内してくれないかな。お礼にお昼奢るから」
 刹那は言った。
「構わない。その前に朝飯を食わせてくれ」
 ロックオンは肩を竦めた。
「ああ。いいぜ」
 刹那は着替えると、キッチンに行き、目玉焼きを作り始めた。ロックオンがサラダを作り、トーストを焼く。
「飲み物はミルクでいいのか?」
「ああ」
 そうして刹那はつつましい朝食を摂り始めた。
 ロックオンはすでに済ませていた為、コーヒーを淹れて飲む。
「何で携帯買いかえる気になったんだ?」
「迷惑メールが酷いからだよ」
 刹那も携帯は持っているが、どこのサイトにもアクセスしていない為、迷惑メールとは無縁だった。だから何のことかよく判らない。
「迷惑メールってどんなのが来るんだ?」
「出会い系サイトの宣伝とかだぜ。俺は興味無いから全部ブロックしているけれど、あまりにしつこく来るからな」
「そうなのか」
「刹那。間違ってもどこかのサイトにアクセスするんじゃないぞ。任務に支障が出るくらい迷惑メール来るからな」
 ロックオンが真顔でいう。
 刹那は頷いた。
「ああ。判っている、ロックオン」
 遅めの朝食を済ませると、刹那はロックオンを東京の中でももっとも大きな携帯ショップに案内した。
 休日ということもあり、店内は客でごった返している。
 ロックオンは番号札を取り、座って自分の順番が来るのを待った。
 刹那も隣に腰掛けて、おとなしく順番を待っている。
 やがてロックオンが呼ばれた。
「身分証明書はお持ちですか?」
 店員に尋ねられ、ロックオンは偽造した「ロックオン・ストラトス」の身分証明書を出した。
「お客様、買い替えですか?」
「ああ。最新のモデルが欲しい」
「ではこちらなど如何でしょう?」
 店員がカタログを見せる。日本円で約三万五千円。結構な値段だ。
「迷惑メールをブロックしたいからメールアドレスを変えたいんだが」
「はい。それも可能でございます」
「じゃあこれにする」
 ロックオンはその携帯に決めた。
「有難うございます。では手続きをしますので暫くお待ち下さい」
 店員は新品の携帯の箱を持って来た。
「電話番号は変えなくて構いませんか?」
「ああ」
 ロックオンは答えた。
「ではメールアドレスの変更だけで手続きを済ませます。今まで使っていた携帯のデータを移しますか?」
「頼む」
 暫くして手続きが終わった。
 ロックオンは代金を払うと、携帯の箱を持って刹那の元へ戻ってきた。
「待たせたな、済まない」
「別に構わない」
「じゃあ、昼飯にするか。いい店があったら言ってくれ。どこでも好きなところでいいぞ」
「どこでもいい」
 ロックオンは考え込む顔になった。
「じゃあファミレスにでも行くか」
「ああ」
 そして二人は近所のファミレスへ行った。
 ドリンクバーとハンバーグ、スパゲティなどを注文する。
「デザートも食っていいぞ」
「本当か?」
 刹那は嬉しそうな顔になった。
 再び店員を呼ぶ。
「済みません。このストロベリーパフェを食後に1つお願いします」
「かしこまりました。有難うございます」
 店員が答え、二人のテーブルから去って行った。
 ロックオンは真新しい携帯を取り出す。すでにマイスター全員とトレミークルーの携帯番号が入っている。ネックストラップに携帯をつけると、ロックオンはそれを首にかけた。
「お前はまだ成長期だからな。沢山食え」
「有難う、ロックオン」
 やがて、二人のテーブルに料理が運ばれてきた。ロックオンは二人分のドリンクを取ってくる。
「じゃ、食うか」
「ああ」
 そうして二人はささやかな昼食を楽しむのだった。

FIN

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