ロックオンSS
ロックオンのプトレマイオスの私室には、幼いころに家族で撮った写真が飾られていた。唯一の形見である。たまたま外出していてテロに巻き込まれなかったロックオンが、ポケットに入れていたものだった。
もう古ぼけてぼろぼろの写真だが、ロックオンはそれを大切にしている。ほかのものなどどうでもいい。この写真だけがロックオンの心の安らぎだった。だが、ガンダムマイスターとして、プトレマイオスにやってきて、4年の月日が経ってから、ロックオンの宝物が増えた。刹那、アレルヤ、ティエリア、スメラギたち……。彼等とともに撮ったもう一枚の写真が二つ目の宝物だ。ロックオンは二つの写真立てを買い、デスクにそれを飾っていた。写真を見るたびロックオンは思う。自分は彼らを守れるのかと。ガンダムマイスター4人のリーダーとして頑張ってきたロックオンだが、彼もまだ24歳。若さゆえに道を誤ることもある。スメラギのミッションプランはほぼ完ぺきだが、彼女も人間、間違うこともある。それに戦場では何が起こるか判らない。刻一刻と状況は変化してゆく。それに素早く対応するのがガンダムマイスターたちの役目だった。だから時としてロックオンは仲間に厳しく接する時もある。命令違反や勝手な行動を取られたりすると、ミッションが台無しになる。だからこそ、刹那を殴ったこともある。
自分達はソレスタルビーイングなのだ。ソレスタルビーイングに沈黙は許されない。
それはロックオンにとって誇りでもあった。
だからこそ、そんなソレスタルビーイングの矜持を打ち砕くようなトリニティ3兄弟とガンダムスローネの存在は許しがったった。
スローネは今までソレスタルビーングが決して行わなかった民間人への攻撃もしていた。すでに1000人近い犠牲者が出ている。これではテロリストと同じだ。そのことが、ロックオンを激しく怒らせる原因になっていた。
その思いはロックオンだけでなく、刹那やアレルヤ、ティエリアも持っているようだった。特にティエリアは、ネーナ・トリニティがヴェーダに勝手にアクセスしたことに大きなショックを受けているようだった。ロックオンはそんなティエリアを気遣ったが、下手な慰めは何にもならないと判っていた。だからこそ何も言わなかった。ティエリアはプライドの高い人間だ。自分のことを話すこともめったにない。だがトリニティ3兄弟の出現で、ガンダムマイスター4人が団結したのは皮肉な話だ。
刹那は彼らを紛争を起こす要因のひとつと断定し、攻撃することを提案した。スメラギは戸惑ったが、刹那の言うことが正しいというのは、トレミーの誰もが判っていることだった。そしてスメラギは、トリニティが敵の一つであると断定したのである。
刹那は作戦行動を取るトリニティ3兄弟へ単独攻撃を仕掛けることを提案した。ロックオンもその案に賛成する。
「刹那」
「何だ? ロックオン」
ロックオンが言う。
「彼等はかなりの強敵だ。やばいと思ったらすぐに逃げろよ」
出撃する刹那に向かって、ロックオンが気遣う。特にミハエルは危険だ。先日も、トレミーの中でナイフを振り回したのだから。
「判っている」
刹那はそう言うと、エクシアのコクピットに滑り込み、機体を稼働させた。GNドライヴが輝く。
ロックオンは出撃していくエクシアを見送りながら思った。
刹那、絶対に死ぬなよと。
FIN
















最近のコメント