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2008年10月14日 (火)

刹那&子猫SS

 子猫のエクシアがトレミーに来てから4ヵ月半。宇宙での暮らしも相当慣れたようで、特に無重力ブロックで遊ぶのがお気に入りのようだった。
 今日も刹那は、朝起きると、エクシアに餌をやり、ミッションシミュレーターの置いてある無重力ブロックへエクシアを連れて行った。
 刹那はエクシアを放し、1匹で遊ばせると、自分はシミュレーターに向かった。
 A級のミッションシミュレート画面を選ぶと、刹那の前に擬似空間が広がった。
 カスタムフラッグ宇宙戦仕様が画面に映る。
 エクシアが背後でみゃあと鳴くのを聞きながら、刹那は仮想の敵へ攻撃を仕掛けた。

 1時間後。シミュレーターでの訓練を終えた刹那が、子猫のエクシアを連れてブリーフィングルームへ行く。そこは1Gあったので、エクシアはソファーの上にぴょんと飛び乗った。
「いい子にしていたな。エクシア。ご褒美の餌だ」
 刹那はそう言うと、ポケットから子猫用の餌を取り出し、ひとつひとつエクシアに与える。
 エクシアはみゃあと鳴くと、その餌を美味しそうに食べた。
 そこへロックオンとアレルヤ、ティエリアがやってきた。
「刹那、またエクシアと遊んでいるのか」
「楽しそうだね」
「……」
 3人3様の答えが返ってくる。
 イアンが作ってくれた、子猫用のノーマルスーツはエクシアにぴったりだった。作ってもらって以来、刹那は子猫のエクシアとともに出撃している。
 そのことに対して、ティエリアは不快感を露にしていた。
 ガンダムマイスターに相応しくないと判断してのことだ。
「なんだよ、ティエリア。まだ怒っているのか?」
 ロックオンが言う。
「別にそういうわけじゃない」
「その顔のどこがそうじゃないって言うんだ」
 言い合う二人を横目に、刹那とアレルヤは子猫のエクシアと遊んでいた。
 アレルヤが刹那から借りた、子猫用のおもちゃでエクシアと遊ぶ。
 みゃあみゃあ。エクシアが鳴き、アレルヤのかざすおもちゃに夢中になる。
 尻尾をぱたぱたさせて遊ぶ姿は本当に可愛かった。
「アレルヤ、そろそろそれ、返してくれ」
 エクシアと遊びたい刹那がアレルヤに言う。
「ああ、ごめん刹那。返すよ」
 そう言い、アレルヤは刹那におもちゃを返した。
 エクシアがまたみゃあと鳴き、一番大好きなご主人様である刹那の元へ向かう。
 刹那の腕の中に納まり、刹那の頬をぺろぺろ舐めるエクシア。
「こら、エクシア、くすぐったいぞ」
 刹那は笑顔を見せた。めったに見られない刹那の笑顔に、言い合いを続けていたロックオンとティエリアと、アレルヤも言葉を失う。
「どうかしたか? 皆揃って」
 刹那が疑問符を飛ばす。
「い、いや、珍しいものを見たと思ってな」
「うん、そうだね」
「ああ」
 再び3人3様の答えが返ってくる。
 刹那は? となるが、その理由は判らなかった。

FIN

2008年10月10日 (金)

アレルヤ&刹那SS

 アレルヤと刹那が珍しくコンビを組んで、地球に降りて介入行動を取ることになった。すべてはヴェーダとスメラギの戦術予報からである。
 今までコンビなど組んだことがない2人だが、アレルヤは刹那の腕を高く評価していた。刹那がアレルヤのことをどう思っているかは不明だが。
 とにかくコンビネーションをよくしなければならないと思い、アレルヤは刹那の部屋を訪ねた。親睦をはかるつもりなのだ。
「刹那、いる?」
 刹那の部屋の前でインターフォンを押す。
 すぐに返事が返ってきた。
「アレルヤ・ハプティズム。いるぞ。開いているから勝手に入れ」
 まるで刹那の方が年上みたいな口のききかたである。
 だが、アレルヤは気にせずに、
「お邪魔します」
 と中に入った。
 刹那はビデオディスクを観ていた。よく見ると大量にビデオディスクがある。
 アレルヤはその題名をちらりと見た。
「機動戦士ガンダム」、「機動戦士Zガンダム」、「機動戦士ガンダムZZ」、「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」、「機動戦士ガンダムF91」、「機動戦士Vガンダム」、「機動武闘伝Gガンダム」、「新機動戦記ガンダムW」、「機動新世紀ガンダムX」、「ターンAガンダム」、「機動戦士ガンダムSEED」、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」、「機動戦士ガンダム0080」、「機動戦士ガンダム0083」、「機動戦士ガンダム第08MS小隊」、「新機動戦記ガンダムW ENDRESS WALTS」……。
 テレビでは、赤いマントに赤い鉢巻をした粗暴そうな男が、「ガンダーム!」と叫んで指パッチンしているシーンだった。その声に応え、地面からシャイニングガンダムが現れる。
 アレルヤは思わず吹き出してしまった。
 あまりにも自分達のガンダムとかけ離れた作品だったからだ。
 じろりと刹那がアレルヤをにらむ。
「何かおかしいか?」
「いや別に」
 アレルヤは慌ててその場を繕った。
「刹那って本当にガンダムが好きなんだね」
「悪いか?」
「いや、ガンダムマイスターとしては悪くないと思うよ。僕なんか料理と体力づくりぐらいしか趣味がないから羨ましいよ」
 アレルヤが謙遜して言う。
「料理か。最近ティエリアと一緒に昼食を作っていると聞いた」
 刹那はビデオディスクを一時停止にすると、アレルヤの方に向き直った。
「うん。一応腕には自信があるよ。最近のマイブームは日本料理かな」
「日本料理?」
 普段、経済特区・東京のマンションに潜伏している刹那だが、ジャンクフードばかり食べていたので、本格的な日本料理は知らなかった。
「ヘルシーで美味しいよ。ティエリアも喜んでくれた」
「そうか。じゃ、明日のミッションの前に俺にも食べさせてくれ、その日本料理とやらを」
「え? ほんとに?」
「ああ」
 刹那の申し出に、アレルヤは嬉しくなって笑顔を浮かべた。滅多に笑顔を見せることのないアレルヤの珍しい笑顔だ。
「じゃ、刹那。明日昼前に僕の部屋に来てね。用意しているから」
「判った」
 じゃあね、とアレルヤは出て行った。
 日本料理か……。ほとんど食べたことがない。そう刹那は思う。
 ミッション完遂のため、こうして親睦を深めるのもいいだろう。そう刹那は思った。
 そして一時停止していたビデオディスクを再び再生させた。
「貴方の戦い方には美学がない」
 長い前髪をなびかせた気障男が、主人公のガンダムファイターに向かって言う。
 刹那は再びビデオディスクの内容に夢中になるのだった。

FIN

2008年10月 9日 (木)

刹那SS

 刹那は一人旅を続けていた。一台のバイクと大きなリュックだけが彼の持ち物だ。食事はサバイバルナイフで、それぞれの土地でとれる獣や果物を取って食べる。所持金はかなりあるので、時々宿に泊まったりもするが、基本的にシェラフで外で寝ることが多かった。
 刹那は次の目的地であるロシアに入っていた。
 アレルヤの情報が得られるかも知れない。
 今アレルヤは行方不明だった。今はヴェーダにも頼れないため、トレミーに連絡を入れても探しようがないとのことだった。
 おそらくは敵に捕まって拘束されているのだろう。そう刹那は考えた。
そして考え事をしてバイクを走らせていたため、目の前に一人の少女が歩いているのを見逃してしまった。
 慌ててブレーキを踏む。
 間一髪、少女にまともに当たることはしなかったが、衝撃で少女が転んでしまった。
 刹那はバイクを止め、急いで少女の元へ向かった。
「大丈夫か?」
 刹那が問う。銀髪の細い身体の少女はこくりと頷いた。だが立ち上がる時に「痛っ」と声を発する。足首を痛めたようだ。
 刹那は少女を抱き上げると、バイクの後部座席に座らせた。
「俺はソラン・イブラヒム。あんたは?」
 刹那は本名を名乗った。この土地で刹那の名を使うことは、逆に危険だと判断したのだ。
「ソーマ・ピーリスといいます」
 少女が答える。
「病院まで送る。家は近くなのか?」
「はい。ある人の家に御厄介になっています」
 刹那は黙って頷くと、ソーマと名乗る少女を連れて、町の中心街の総合病院へ行った。
「ソーマとか言ったな。保険証は持っているか?」
「はい、持っています」
 刹那は窓口にソーマの保険証を見せ、足を怪我している旨を伝えた。
 そして再びバイクからソーマを抱き上げると、病院の待合室の椅子に座らせた。
「有難うございます、ソランさん」
「気にするな。あれは俺が悪い」
「考え事でもしていたんですか?」
 ソーマが問う。
「ああ。昔の仲間のことを考えていた。ちょっと聞くが、アレルヤ・ハプティズムという男のことを知らないか?」
 ソーマは首を横に振った。
「いいえ。知りません」
 やがてソーマの名が呼ばれた。刹那はソーマを抱え上げると、医者の待つ診察室へ入った。事故のあらましを話す。
 医者は納得したようにソーマの足を診た。
「ただの捻挫だ。1週間ほど安静にしていればすぐ治る」
 ソーマは安心したような顔になった。そして刹那も。
 刹那は会計を済ませると、ソーマに言った。
「大したことなくて良かった」
「有難うございます。ソランさん」
「家まで送る。場所を教えてくれ」
「では道々私が道を教えます」
 ソーマが答える。
 刹那は三度ソーマを抱きかかえると、バイクの後部座席に乗せた。
「しっかり捕まっていろ」
 ヘルメットを被りながら刹那が言う。
 ソーマは素直に刹那の腰に手をまわした。
 そしてバイクを走らせること10分、セルゲイの住む豪奢な住宅の前でバイクを止めた。
「ここに居候しているんです。ソランさん、お茶でも飲んで行きませんか?」
「いや、俺は急いでいるから」
 そう答え、刹那はバイクを発進させた。
 ソーマは不思議な気持ちでそれを見送る。
 玄関のドアが開いた。セルゲイが出てくる。
「何だ? 今のバイクは。ソーマ、その脚はどうした」
「ちょっと転んでしまって。病院で診て貰ったんです」
「大丈夫か?」
「はい。1週間安静にしていれば治るそうです」
 ソーマは事故のことは話さず、怪我のことだけを話した。
 ソラン・イブラヒム……どこかで会った気がする。そうソーマは思った。そして、アレルヤという名をどこかで知っている気がすることも。だがソラン(刹那)には話せなかった。自分が超兵であることを知られてはならない。超兵の存在は軍でもトップクラスのシークレットだったからだ。
 今頃彼はどこを走っているだろう。そうソーマは想いを巡らせた。

 刹那はロシアを出ようとしていた。国境の検問所が近づいてくる。偽造パスポートを用意し、バイクを止める。幸い、何も尋問されず無事にロシアを出ることができた。
 刹那は次は中国へ向かおうと、更にバイクを走らせるのだった。

FIN

2008年10月 8日 (水)

ティエリア&ロックオンSS

 ティエリアは、自分の中にあるロックオンへの想いが、片思いだということに未だ気づいていなかった。
 以前スメラギが撮ってくれた、マイスター全員の集合写真を見て、ほうとため息をつく。写真の中のロックオンは笑顔だった。その笑顔に引き寄せられれるように見つめる。仏頂面のティエリアとは段違いの表情だ。
 なぜ、こんなに奇麗に笑えるんだろう。
 彼だって辛い思いをしてきたマイスターの一人なのに。
 そうティエリアは思い、ぎゅっと写真立てを抱き締めた。
 そこへ扉のインターフォンが鳴った。どきりとして写真立てを落とす。
 慌ててそれを拾うと、ティエリアはインターフォンに向かった。
 応対に出てみると、相手はロックオンだった。再びどきりとするティエリア。
「な、何か用か? ロックオン・ストラトス」
 どもりながらティエリアが問いかける。
「ちょっと話そうと思ってな。都合が悪いか?」
「いや、そんなことはないが……」
 そう言い、ティエリアは扉のロックを外した。
「何でお前、写真立てなんて持ってるんだ?」
「いや別に。ただ見ていただけだ」
「そうか」
 そう言い、ロックオンはティエリアの私室に入った。ロックオンの部屋ほどではないが、それなりに広く、綺麗に片付いていた。
「最近、お前さん調子が変だろう? マイスターのリーダーとしちゃ、放っておけなくてな。それで話にきたんだ」
 ロックオンが言う。
「別に調子が変だなんてことは」
「ある」
 ロックオンが断言する。
 三度どきりとするティエリア。
「お前、俺の前にいる時絶対おかしいぞ。妙に緊張して、硬くなるって言うか。いつものお前じゃない」
「それは……」
 ティエリアはまだ手にしていた写真立てを抱き締める。
「あなたのせいだ、ロックオン・ストラトス」
「俺か?」
 ロックオンが疑問符を飛ばす。
「あなたがいると調子がおかしくなる。風邪をひいた時みたいに胸がドキドキして痛い。顔を見ると食欲がなくなる。今こうしている時もドキドキして心臓が破裂しそうだ」
 ティエリアは思い切って打ち明けた。
「お前……もしかして俺のこと好きなのか?」
「……! ち、ちが……」
「どこが違うって言うんだ」
「……」
 沈黙があたりを包む。その沈黙は肯定の意味と同じだった。
 ロックオンは手を伸ばすと、写真立てを握り締めているティエリアの手を取った。
 思わず写真立てを落としてしまう。だが、ロックオンの力強い手が、拾うことを拒否させた。
「言葉にしなきゃ伝わらないこともあるんだぜ」
 そう言うと、ロックオンはティエリアの手の甲にキスを落とした。
 真っ赤になるティエリア。
「ロックオン・ストラトス……!」
「ただのロックオンでいい」
 そう言い、ロックオンはティエリアの細い身体を抱き締めた。
 思わず思考が停止し、ただ茫然と抱き締められるティエリア。
 暫くそうしていた後、ロックオンはティエリアの身体を離した。
 見つめあうと、そっとロックオンはティエリアの顎をかすかに持ち上げ、己の唇を重ねる。驚きに見開かれるティエリアの瞳。だがすぐに閉じられた。
 ロックオンの背中にそっと手を回す。
 ロックオンも再びティエリアを抱き締めた。
 長い抱擁の末、二人は唇と身体を離した。
「ティエリア……」
「ロックオン……」
 ロックオンが言った。
「今度地球にデートでもしに行こう。俺の故郷のアイルランドを紹介してやる」
「いいのか?」
「当たり前だ」
 ティエリアは僅かに頬を染めて答える。
「有難う、ロックオン」
「何、大したことじゃないって」
 じゃあな、とロックオンはティエリアの部屋から出て行った。
 その後ろ姿を、ティエリアはいつまでも見送っていたのだった。

FIN

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